片付け業界最新情報

部屋で孤独死があったことを隠して退去手続きはできるのか?

特殊清掃
2019年06月05日

部屋で孤独死があったことを隠して退去手続き

孤独死の事実を伏せて退去手続きをしたらどうなるか?

孤独死・異臭|上手く隠したつもりでも必ずバレる

不動産管理会社だったか大家さんだったか定かではありませんが臭気チェックの依頼が入った。

リフォームも済んで後は新しい入居者が決まるのを待つだけという場面です、具体的にどんな臭いなんだと聞くとゴミ臭のような気もするしともかく不快。

ただ窓を開けたり換気すれば臭わないけどしばらく経つとかすかに湧き上がってくるという感じ。

ともかく現場へ向かう(この場合は『臭気チェック』という依頼なので2万円の料金がかかります)ヒアリングでわかったのは前入居者は中年男性で5~6年住んでいた、3ヵ月前に急に遠くに転勤になったからと親族が退去の手続きをしたということであった。

部屋には置き型の芳香剤があり臭気を感じなかったので芳香剤を撤去し換気ししばらく締め切って臭いが沸き立つのを待つ、正直この時点で確信めいたものはあったけど言わないでおいた。

だいたい、いくら急な転勤と言えども別の者が退去の手続きをすることは考えにくい。

臭気チェックをする前に前入居者とは連絡取れるか聞いてみたところ一度も電話したことがないという、意外とずさんな管理をしてるアパートやマンションも多いのです。

入居者台帳の電話番号におそるおそる掛けてみると・・・「お掛けになった電話は・・・」解約されてました。

部屋に戻り入った途端例の臭いを察知、でも確かに微かなもの。

目の前にある部屋のどこかに遺体痕がある!言葉を選びながら担当者に伝える「この部屋人が亡くなってますね」担当者はそんな馬鹿なという顔で飛び上がる仕草をする。

ただ床も壁紙も完全リフォームをされてるので場所の特定はできない、まずは本当に亡くなっての退去だったのか裏を取ってから再度連絡くださいとその場を後にしました。

数日後電話がありやはり前入居者は部屋で亡くなっていた、ただ死後日数は1週間程度で家財の撤去や清掃は遺族側が業者に任せたらしい。

リフォーム前の状況がどうなのかわからないのでリフォーム業者に記録写真があれば出してもらいどんな施工をしたのかヒアリングしてもらった。

リフォームの施工内容はフローリングの貼り換えと壁紙、しかもコストダウンのため壁紙は古い壁紙の上に貼っただけというのが判明した、施工前の写真からおそらく遺体痕はここだろうということも特定できた、担当者はリフォーム屋を責めたようだが異常を察知できなかったことは仕方ないかもしれない、彼らは遺体痕検索のプロじゃないですから。

結局、壁紙をすべて剥がし新しいフローリングも剥がすことになった、結果腐敗体液はフローリング下板に遺漏しさらにその下の断熱材まで汚染していた。

せっかくリフォームした部屋を再度解体する憂き目にあった典型例でした、このような悪質な例は稀ですが技術のない特殊清掃業者に依頼したばかりに遺体痕を残し臭い戻りを起こした例はかなりの数があります。
 

床下に流れ出た遺体痕から発する臭い
床下の木材や断熱材にまで遺体からの腐敗液が漏れ出て汚染していた

賃借人には等しく善良に管理する義務がある

賃貸住宅は他人の物を契約期間内に自由に使用することができます。

ですが、好き放題自由に使えるという性質のものではなく、注意しながら管理するという義務を負っています。

これを民法の用語で善管注意義務と言います。(民法400条)

退去費用のトラブルをジャッジする場合、この善管注意義務に違反してたかどうかがポイントとなります。

上記の事例のように孤独死や何らかのトラブルがあったことを隠すのはこの善管注意義務違反にあたるのかどうかです。

考えるまでもありません、このようなことはモラルから鑑みても絶対に行ってはいけないことです。
 
退去の手続きを円満に行う


孤独死による退去はどこまで責任を負うのか?

当然賃借人は亡くなっているのですから、事後の処理を行うことはできません。
では誰が行うのか?

連帯保証人がいればその人ですし、法定相続人がいればその人となります、特に連帯保証人は賃借人に連帯してるのですから同等の責を負います。

では、どこまで部屋を原状回復しなければいけないのかがポイントとなるのですが、今のところ孤独死による原状回復の法的整備がなされていません。

法的に何も決まってないのですから、大家さんや物件オーナーの言いなりなのかと言えばそうでもありません。

普通に暮らしていた場合でも、何らかの破損や汚損が故意なのか過失なのかでジャッジが変わります。
言うまでもなく孤独死は故意ではありません、物件オーナーにとっては不慮の事故のようなものです、亡くなった方も遺族も連帯保証人も予見できるものではありません。

では、どこまで行って部屋を返せばいいのか?

原状回復という言葉通り、入居当時の状態から経年劣化分を差し引いたレベルまで、すなわち直近のレベルまで戻せばいいということになります。

順序としては以下の通りです。

1.特殊清掃を行い除菌や消臭、遺体痕の清掃を行う。
2.家財の撤去を行い部屋を空にする。
3.本格的な防臭処理などを行う。

ここまでです。
ただし(3)の工程では壁紙を剥がしたり床材を切ったりすることがありますので、元通りにする必要はあります。

このような事態に乗じて過剰なリフォームを行い丸々遺族や連帯保証人に請求する大家さんもいるようですが、グレードアップは認められていません。

大家さんにしてみれば、災難かもしれませんが東京都内で10棟120室以上運営している専業の大家さんは、部屋は人の生き死にを提供する場、賃貸経営をするなら当然織り込んでおくべきこと、と仰ってます。

現在は賃借人の孤独死に対応する保険もありますので是非保険の見直しをしてみてはいかがでしょうか?

不動産管理者や大家さんのためのサイト:孤独死やゴミ屋敷にはどう対応すべきか?をご覧ください。